少年は中学校に進んた。小学校の最後の1年間には、本の中の思い出が増えた。
C.S.ルイスが書くナルニア国では、北の国を旅した。「ナルニア国の広さ知ってる?」
と少女に話しかける夢を何度も見た。でも、現実では、何度も見かけた少女に話しかけることは
できなかった。ナルニア国が最後の日を迎えて、次に読んだJRRトールキンでホビットが旅を終えて
パイプをくゆらせているころに、少年は小学校を卒業した。
C.S.ルイスが書くナルニア国では、北の国を旅した。「ナルニア国の広さ知ってる?」
と少女に話しかける夢を何度も見た。でも、現実では、何度も見かけた少女に話しかけることは
できなかった。ナルニア国が最後の日を迎えて、次に読んだJRRトールキンでホビットが旅を終えて
パイプをくゆらせているころに、少年は小学校を卒業した。
1年か2年待てば、少女は同じ中学校に来るはずだった。
少年の住んでいる町を含む4つの町の小学生は同じ中学校に進むことになっていた。
ただ、少年が中学校2年の時に、中学校が新設されて、自分の住む町ととなり町の児童は
そちらに進学することになった。少年がそれを知ったのは、テニス部に入って初めての後輩に
素振りを教えているころだった。少年が「先輩」と呼ばれるたびに顔を赤らめるので、
中学一年生は、できるだけ少年を「先輩」と呼ばないようにした。
少年の住んでいる町を含む4つの町の小学生は同じ中学校に進むことになっていた。
ただ、少年が中学校2年の時に、中学校が新設されて、自分の住む町ととなり町の児童は
そちらに進学することになった。少年がそれを知ったのは、テニス部に入って初めての後輩に
素振りを教えているころだった。少年が「先輩」と呼ばれるたびに顔を赤らめるので、
中学一年生は、できるだけ少年を「先輩」と呼ばないようにした。
少女は、セーラー服を着るようになり、背丈も伸びた。少年は、相変わらず話しかけられない
まま文房具屋で本を買った。少女の背丈が自分に追いつき、越してしまっているかもしれない
と考えて、小学校の頃よりも離れるようにした。それでも、少女と本の話をする機会をずっと
探していた。JRRトールキンの書いた指輪物語を一巻一巻買うときには、女店主にお金を払う後ろで
少女が見ているような気がした。少女の黒い髪からは、小学校の頃のような跳ねた髪がなくなり、
流れて輝くようになっていった。少年は、少女の髪を見ないようにした。
髪を見るだけで心臓の音が少女に聞こえそうだった。少女に会えた日には、
サチフダの入っている箱を開けて、オルゴールが奏でる甘く切ない曲を聞いた。想像の中で、
少女に彼女の名前を書いたフダを見せた。いつも、少女は幸せそうに微笑む。
ただ、想像の中でも名前を書き込む枠は空白だった。
まま文房具屋で本を買った。少女の背丈が自分に追いつき、越してしまっているかもしれない
と考えて、小学校の頃よりも離れるようにした。それでも、少女と本の話をする機会をずっと
探していた。JRRトールキンの書いた指輪物語を一巻一巻買うときには、女店主にお金を払う後ろで
少女が見ているような気がした。少女の黒い髪からは、小学校の頃のような跳ねた髪がなくなり、
流れて輝くようになっていった。少年は、少女の髪を見ないようにした。
髪を見るだけで心臓の音が少女に聞こえそうだった。少女に会えた日には、
サチフダの入っている箱を開けて、オルゴールが奏でる甘く切ない曲を聞いた。想像の中で、
少女に彼女の名前を書いたフダを見せた。いつも、少女は幸せそうに微笑む。
ただ、想像の中でも名前を書き込む枠は空白だった。
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