少年はもう一度寝て、また母と一緒に泣いているユメを見た。起きてみると父がいた。
何度か起こしにきていたようで、「やっと起きたか、着替えて出てこい」と呼ばれた。
服を着て居間に出ると、おにぎりとが用意されていた。父が握ったようで、不恰好なおにぎりだった。
父は早くそのおにぎりを食べるように言いながら、3千円を少年に渡し、
今日はこれでおもちゃでも買ってこいと言って少年に外出を指示した。
その日は1月1日だった。正月に家族で食事もせずに出かけると、きっと母親に怒られると
少年は思ったが、母は食堂に座って背中を向けたままだった。振り向いてくれるはずだと少年は
思ったが、結局振り向かなかった。少年は、おもちゃを買いに出かけることにした。
何度か起こしにきていたようで、「やっと起きたか、着替えて出てこい」と呼ばれた。
服を着て居間に出ると、おにぎりとが用意されていた。父が握ったようで、不恰好なおにぎりだった。
父は早くそのおにぎりを食べるように言いながら、3千円を少年に渡し、
今日はこれでおもちゃでも買ってこいと言って少年に外出を指示した。
その日は1月1日だった。正月に家族で食事もせずに出かけると、きっと母親に怒られると
少年は思ったが、母は食堂に座って背中を向けたままだった。振り向いてくれるはずだと少年は
思ったが、結局振り向かなかった。少年は、おもちゃを買いに出かけることにした。
少年は駅前の玩具店に行った。当時、正月の1日から3日までは、レストランと玩具店だけが
営業していて、その他の店は全ておやすみだった。お店は両親を連れた子どもたちでいっぱいだった。
玩具店には少年が憧れたおもちゃが多数おいてあった。ただ、少年は、その日だけは、
どのおもちゃを見ても欲しくならなかった。人生ゲームもモノポリーもなんとなく買っても
無駄なような気がしてしまった。それでも、早く帰ってはいけないような気がして、
昨日と同じ地区センターに20分ほど歩いて行く事にした。
営業していて、その他の店は全ておやすみだった。お店は両親を連れた子どもたちでいっぱいだった。
玩具店には少年が憧れたおもちゃが多数おいてあった。ただ、少年は、その日だけは、
どのおもちゃを見ても欲しくならなかった。人生ゲームもモノポリーもなんとなく買っても
無駄なような気がしてしまった。それでも、早く帰ってはいけないような気がして、
昨日と同じ地区センターに20分ほど歩いて行く事にした。
地区センターでもほとんどの店は閉まっていた。餌が無いことを知っているのか、
鳩も居なかった。ただ、一軒だけ文房具屋が開いていた。そこは、本とおもちゃも
少し置いているので正月から営業しているのかもしれない。少年は小学校の帰りに、
プラモデルを下校中にその店で買ったことを思い出した。文房具屋に入ると、
客は一人きりで、本を見ていた。昨日見た少女だった。少女の目線の先には
少年少女文学全集が置かれていた。昨日、優しい声で老人とそばを食べていた様子を思い出した。
その子は文学を読むのかもしれない。そう思っていると、目を上げた少女と一瞬目が合った。
少年の小学校では見かけない子だった。少年は激しくなった心臓の音を少女に聞かれるのでは
無いかとずっと心配だった。その日、少年は十五少年漂流記を買って帰った。本を買うときには、
あれほど視線を避けた少女が見ていてくれたら良いのにと思った。
鳩も居なかった。ただ、一軒だけ文房具屋が開いていた。そこは、本とおもちゃも
少し置いているので正月から営業しているのかもしれない。少年は小学校の帰りに、
プラモデルを下校中にその店で買ったことを思い出した。文房具屋に入ると、
客は一人きりで、本を見ていた。昨日見た少女だった。少女の目線の先には
少年少女文学全集が置かれていた。昨日、優しい声で老人とそばを食べていた様子を思い出した。
その子は文学を読むのかもしれない。そう思っていると、目を上げた少女と一瞬目が合った。
少年の小学校では見かけない子だった。少年は激しくなった心臓の音を少女に聞かれるのでは
無いかとずっと心配だった。その日、少年は十五少年漂流記を買って帰った。本を買うときには、
あれほど視線を避けた少女が見ていてくれたら良いのにと思った。
家にもどると、父が夕食を作っていた。母は無表情で食卓の椅子に座って父が食事を作る
様子を見ていた。不思議そうにしている少年に、母は「しばらくはお父さんが食事を作って
くれることになったからね」と説明した。母親は力強くて、父親に命令しているような様子
だった。その夜はオズモンド・ブラザーズとコント55号の正月番組を見ながら食事をした。
少年はコマーシャルの間に部屋にもどって昨日のサチフダを見直した。フダは机の上にあった。
しばらくフダを見て考えたが、少年は、母親の名前は書かなくても良いと感じた。きっと、
母親は父親が幸せにするだろう。そのかわり、あの、そばを食べていた少女を思い出した。
少年が幸せにできれば、寒い広場で老人を見上げていた少女は、もっと暖かく楽しくなるような
気がした。
様子を見ていた。不思議そうにしている少年に、母は「しばらくはお父さんが食事を作って
くれることになったからね」と説明した。母親は力強くて、父親に命令しているような様子
だった。その夜はオズモンド・ブラザーズとコント55号の正月番組を見ながら食事をした。
少年はコマーシャルの間に部屋にもどって昨日のサチフダを見直した。フダは机の上にあった。
しばらくフダを見て考えたが、少年は、母親の名前は書かなくても良いと感じた。きっと、
母親は父親が幸せにするだろう。そのかわり、あの、そばを食べていた少女を思い出した。
少年が幸せにできれば、寒い広場で老人を見上げていた少女は、もっと暖かく楽しくなるような
気がした。
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