広場の向かいのベンチに老人と少女が座っていた。二人はそばを食べている。
スーパーで売っている発泡スチロールの容器だった。カップから立ち上がる湯気の中で、
少女はそばを一口食べるたびに老人に「美味しいね」をと言っている。
少女が老人に話しかけるたびに、寒い風で白んでいた老人の血色が良くなっていく様子が見えた。
少年の家では、母親が不機嫌でもそばを作ってくれるはずだった。
少なくとも、少年は家でテレビを見ながらそばを食べることができる。
少年は、大晦日にもいろいろなヒトがいることを初めて知った。広場には鳩と少年とその二人だけで、
寒い風が時折吹いていた。
スーパーで売っている発泡スチロールの容器だった。カップから立ち上がる湯気の中で、
少女はそばを一口食べるたびに老人に「美味しいね」をと言っている。
少女が老人に話しかけるたびに、寒い風で白んでいた老人の血色が良くなっていく様子が見えた。
少年の家では、母親が不機嫌でもそばを作ってくれるはずだった。
少なくとも、少年は家でテレビを見ながらそばを食べることができる。
少年は、大晦日にもいろいろなヒトがいることを初めて知った。広場には鳩と少年とその二人だけで、
寒い風が時折吹いていた。
気がつくと、少年のとなりに男性が座っていた。背広を着た若い男性だった。
男性は少年に紙を差し出して、
「あなはに、この紙を上げます。これはサチフダといって枠の中に名前を書くだけで
そのヒトを幸せにできます。でも覚えていてください。このフダに書ける名前はひとりだけです。」
そのヒトを幸せにできます。でも覚えていてください。このフダに書ける名前はひとりだけです。」
と言った。
少年はチケットを良く見た。古い紙のようだった。縁取りが名前を書くように作られいた。
縁取りの面の裏には何かの文字が書かれていたが少年には読み取ることができなかった。
気がつくと男性はいなくなっていた。
縁取りの面の裏には何かの文字が書かれていたが少年には読み取ることができなかった。
気がつくと男性はいなくなっていた。
その夜、母親は少年の寝床にやってきた。何年かぶりに添い寝をした母親は、
静かな声で少年とお別れをしなければならないかもしれないことを話した。
理由を尋ねる少年に、母は「大人になったらわかるかもしれないけど、
絶対にあなたは奥さんを悲しませたらいけませんよ」と答えるだけだった。
少年には寝床が狭くなったが、母親を守らなければならない気持ちになって、
黙って寝たふりをした。しばらく黙っていたら、首に熱いものが当たった。涙だった。
母親はすすり泣いてた。
静かな声で少年とお別れをしなければならないかもしれないことを話した。
理由を尋ねる少年に、母は「大人になったらわかるかもしれないけど、
絶対にあなたは奥さんを悲しませたらいけませんよ」と答えるだけだった。
少年には寝床が狭くなったが、母親を守らなければならない気持ちになって、
黙って寝たふりをした。しばらく黙っていたら、首に熱いものが当たった。涙だった。
母親はすすり泣いてた。
少年は、母親に話しかける言葉を探した。少年がいつも一緒に居ることを伝えれば
きっと安心してくれるに違いない。しかし、言葉は出て来なかった。そう考えているうちに
少年は眠ったようだった。夢の中では、母親が甘く切ない音楽を聞いていた。
その切ない音楽に涙する母親に、何もできない自分が悔しくて、少年は泣いた。
夢の中でも細かく息を吸って、小さな声を出していた。夜中に起きると母はおらず、
枕が濡れていた。少年は明日の朝、サチフダに母親の名前を書くことを決めた。
きっと安心してくれるに違いない。しかし、言葉は出て来なかった。そう考えているうちに
少年は眠ったようだった。夢の中では、母親が甘く切ない音楽を聞いていた。
その切ない音楽に涙する母親に、何もできない自分が悔しくて、少年は泣いた。
夢の中でも細かく息を吸って、小さな声を出していた。夜中に起きると母はおらず、
枕が濡れていた。少年は明日の朝、サチフダに母親の名前を書くことを決めた。
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