2019年7月2日火曜日

12話

それから、二人はこれまでのお互いの出来事をしばらく話した。青年は、デザートと
コーヒーが無くなるのがこれほど早いとは知らなかった。支払いを済ませて
ターミナル駅につき、電車で家の近くの駅にもどるまでの間、またお互いの何年かを話した。
近隣の駅の改札から娘の本屋までの間、青年は本屋の前でスマートに去る予行演習を
頭の中で実施した。


本屋に着いたところで、娘はちょっと待つように伝えたのち、シャッターのくぐって
店内に消えた。青年は、ここでどんな言葉でスマートに帰るか、頭をフル回転させた。
正月の夜の地区センターにはだれもおらず、広場の街灯も省電力で暗かった。
暗い地区センターで、娘に挨拶をして帰るときのかっこいい一言を青年は考えた。

娘はジーンズに着替えて出てきた。ちょっと入るように勧める口調は、女店主と似ていた。
店のレジの後ろの戸をあけると階段があり、娘は二階にはコタツがあるからといって階段を
上るように青年に指示した。二階の部屋は硝子のはいった障子で仕切られていて、
シャッター側の部屋は客間らしくこざっぱりとかたずけてあり、部屋の中央に
コタツがあった。コタツの上には、日本酒とコップが置かれていた。
ほら入ってと言われて青年は正座をしてコタツに入った。

娘は小学校のころの話を始めた。

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